いい病院って、どんな病院ですか? 医療者向け情報サイトを運営するエムスリーと共同でアンケート調査を行った結果、医師たちの本音を聞くことができた。記事の後半では、患者がチェックできる「いい病院」の情報についても紹介する。現在発売中の『手術数でわかる いい病院2021』(朝日新聞出版)から抜粋。
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■医師の技術力とチーム力を重視
いい病院とはどんな病院か――。この問いに、医師はどう答えたか。おもに「がん」や「心臓病」など専門的な治療が必要な疾患について、「すぐれた治療、かつ患者にとって納得がいく治療をする場合」という条件で、選択肢から上位3つを選んでもらった。1位、2位、3位に選ばれた選択肢をそれぞれ3、2、1点とカウントして集計したのが図表だ。上から「医師の技量」「チーム医療」、そして「患者のサポート制度」という結果になった。
医師によっていい病院の定義はさまざまだ。「患者が安心して身を任せることのできる病院」と回答したのは、東京都の開業医、根本充医師(内科・47歳)。その条件として「検査設備が整っていること」を挙げる。緊急度の高い疾患の場合、初期診断・治療を可能にするためにはCTやMRIによる当日検査が必要となる。また、内視鏡検査や心臓カテーテル検査が実施できる体制であれば、「より安心」だという。
さらに、治療の専門性が高く、院内の他科と連携のとれた「全人的診療」が可能であればより望ましいと指摘する。全人的診療とは、病気や患者の一部だけではなく、その人の生活背景やそれまでの人生、価値観なども含めて総合的にみることだ。
「その上で、日頃から開業医と病院の医師との間で良い関係が築けていることが重要です。患者は日常的な診療は開業医のもとで受け、状況が変化したら専門診療科を受診する。このように、『患者・診療所・病院』の三位一体の関係性が構築できていれば、おのずと質の高い診療ができるでしょう」(根本医師)