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※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 厚生労働省は4月23日、歯科医師による新型コロナウイルスワクチンの接種を認める方針を決めました。集団接種の会場で、医師や看護師の必要人数が確保できない場合、歯科医師がワクチンを打つこともあるということになります。とはいえ、技術的に大丈夫なのか、応じる歯科医師はどのくらいいるのか、気になります。そこで歯科医師で歯周病専門医の若林健史歯科医師に聞きました。

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 歯科医師によるワクチン接種が決まりましたね。

 この件でマスコミの方から、「慣れていないのに、打つのは怖くないですか?」「手を挙げる歯科医師は本当にいるのですか?」などといった質問をいただきました。

 おそらく、一般の方も同じような疑問を持っていることでしょう。

「歯科医師の注射は不安だ」と思う人もいると想像します。

 確かに歯科医師が普段、筋肉注射をする機会はほとんど、ありません。私も30年以上歯科医師をやっていて、経験したのは2回ほどです。いずれも「根尖(こんせん)病巣」といって、むし歯で神経をとったところがはれたり、歯根が割れてしまうなどの原因で細菌感染から患部が化膿(かのう)してしまった患者さんに対してでした。

 顎(あご)の化膿がひどくなり、顔半分が大きくはれていたので、細菌の増殖を抑え、はれを治療するために、腕に「抗生剤の注射」をしたのです。歯科医師が歯科治療のために筋肉注射をすることは法律的に認められているのですが、私のような経験をしている歯科医師より、一度も筋肉注射をしたことがない歯科医師のほうが圧倒的に多いと思います。

 とはいえ、歯科医師は日常的に歯ぐきや口の中の粘膜に麻酔の注射をしています。麻酔注射は抜歯やむし歯治療、歯周病治療などに欠かせないものだからです。

 麻酔を広く口の中にいきわたらせるために下顎の一番奥の粘膜部分から下顎神経付近に伝達麻酔をしたり、目の下の眼窩(がんか)下神経を狙って、口の中から注射をすることもあります。ちなみに筋肉注射は歯学部では教えませんが(私は口腔外科を専門にしている勤務先の師匠から学びました)、麻酔注射はさまざまな種類のものを実習で徹底的に学びます。私が学生のときは本物の麻酔を使いました。出席番号で決められたペアで互いに打ち合うのですが、よく知らない相手だったこともあり、打たれる際は不安だったことを今でも覚えています。
 

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若林健史

若林健史

若林健史(わかばやし・けんじ)。歯科医師。医療法人社団真健会(若林歯科医院、オーラルケアクリニック青山)理事長。1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演。AERAdot.の連載をまとめた著書『なぜ歯科の治療は1回では終わらないのか?聞くに聞けない歯医者のギモン40』が好評発売中。

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