「ニュース番組を見てたらボンッてテロップが入って。言葉にならなかった。いまだに、いないっていうのがわからないです」
志村さんの生き様だった「人々に笑いを届ける」という思いを胸に、その後も動画をあげ続けた。
「正直、何がおもしろいのか全然わからないのよ。でもみんなヒャッヒャと笑ってくれる。笑うと免疫力が上がるし、社会が少しでも明るくなればいいかなって」
芸能生活51年目の今、自分自身が変わらねば、という思いもある。
「芸能界が変わっちゃったから。バラエティーは芸人さんが中心だし、音楽番組も流行りの若い子が入れかわり立ちかわり。私くらいの年代の歌手はお茶の間に出る機会が減ったわね。特に、今はコロナでステージにも立てない。発信の場は自分で作らなきゃ」
それにしても、わさび漬けを口にふくみ泣きながらむせたり、脳年齢の測定結果が80歳だったり、動画ではあまりに赤裸々な姿が公開されている。恥ずかしさはないのか……?
「羞恥心、持ってみたいね~。私はデビュー当初売れなくて、旅回り、営業、キャバレー、映画、ドラマ、バラエティーといろいろやってきたの。コントでもなんでも、『わかりましたー』って、言われるがまま。この世界で生きていくって決めたんだから、何があっても目の前のことを全力でやらなくちゃ」
そんな研さんが、一つモノ申したいことがある。
「芸能人の『すっぴん動画』って、みんな軽~く薄化粧してるのよね。あんな中途半端はダメ。ばれちゃうから。私の場合はちょっとひどすぎたけど(笑)」
「研さんの突破力は、羞恥心のなさですね」。記者が漏らすと、「ハッハッハッ! それおもしろい」と手をたたいて笑う研さんだった。(本誌・大谷百合絵)
※週刊朝日 2021年6月4日号