5000件に及ぶ片づけ相談の経験と心理学をもとに作り上げたオリジナルメソッドで、汚部屋に悩む女性たちの「片づけの習慣化」をサポートする西崎彩智(にしざき・さち)さん。募集のたびに満員御礼の講座「家庭力アッププロジェクト®」を主宰する彼女が、片づけられない女性たちのヨモヤマ話や奮闘記を交えながら、リバウンドしない片づけの考え方をお伝えします。
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case2.プライドをかけて投稿し続けた侑佳さんの場合
愛知県在住/夫+子ども2人/歯科医師
家庭力アッププロジェクトには、片づけ前の部屋の写真を撮って、受講生だけのFacebookグループに投稿してもらうというルールがあります。この課題を伝えると毎回、「エー!」「無理、無理」という悲鳴に近い声が聞こえてきます。でも、鬼と呼ばれようが、ルールなので例外はありません。
本人も目を背けたくなる部屋のビフォー写真、片づけ途中の状況やスッキリと片づけ終わった部屋のアフター写真、これらをその日の気づきと一緒に投稿してもらいます。
痛い思いをする分だけ、写真の効果は絶大。
「うわぁ。ウチってこんなに散らかっているのね」と部屋を客観的に見ることができ、それを他人にさらすことが自分への戒めになります。一人の頑張りは全員のやる気となり、トライ&エラーの様子は誰かのヒントに。集団のパワーが発揮されるのです。
このグループのメリットを最大限に活かしたツワモノがいました。
愛知県在住の侑佳さん。2020年初夏に開催したオンラインのプロジェクトに参加された2人のお子さんのママです。笑顔が素敵な歯科医師。私には家庭もキャリアも全て持っている女性に見えました。
侑佳さんは、プロジェクトのZoom説明会をビジネスホテルから参加しました。なんと説明会用にわざわざ部屋を予約したのです。理由はプロジェクト参加後の初投稿に書かれていました。
「心の中は荒んで、幸せとは程遠い生活です」
3年前にさまざまな事情で引っ越してから、子どもの進学や進級、夫の仕事の変化に追われて、家の中はぐちゃぐちゃ。何をどう配置したらいいかわからないまま暮らしてきました。離婚を覚悟するほど夫婦げんかも多く、やんちゃな息子さんを叱る日々。家にいるのがイヤ、自分の居場所じゃないから、とホテルから参加されたのでした。
これまで誰にも言えなかった思いを吐き出し、自分と向き合う覚悟を決めた侑佳さんは「本気」をみせます。なんとFacebookグループに毎日1回投稿することを宣言。「#お片づけの心得」でつづる投稿を自分に課したのです。
ある日は、片づけ中に出てきた神社のお札やお守りなど「神系グッズ」の写真と一緒にこんなコメント。