もう一つは間食の回数とその内容です。
私のクリニックでは初診時に間食の回数やどんなものを食べているかについて、問診表に記載してもらった上で、詳しく聞くようにしていますが、「間食はしません」と答える人は治療が必要な歯があっても口の中を見ると全体的には状態がいいことが多いのです。一方、間食が習慣になっている人、中でもジュースを含めた砂糖の多いお菓子類を「しょっちゅう、食べる」と回答している人は、むし歯も歯周病も、非常に多いです。
歯周病になりやすい職業は仕事と休憩時間の切り替えがしにくく、仕事をしながら間食をする、あるいは、食事代わりにおやつを食べる、という人が多いのではないかと推察します。
また、そもそも口の中に食べ物が入ることを避けられない職業もあります。「生産業」の一つ、パティシエがその代表です。当院にもパティシエをしている患者さんが通院されていますが、仕事柄、「味見を頻繁にするので、口の中に常に甘い物がある」とおっしゃっていました。同じような理由で料理人もむし歯や歯周病になりやすいといえます。
こうした人たちにはできることに限界があります。そこで悪化する前に治療を開始できればと、こまめな定期検診をすすめています。
それ以外の職業の人におすすめしたいのは、まずは、間食の回数を減らすことです。
むし歯や歯周病対策は口腔ケアと間食対策の2本柱、とお話ししてきましたが、どちらか一つを優先するとすれば、「間食対策」のほうが若干優勢かと思います。
あくまでも私の臨床経験からですが、
「しょっちゅう間食をしているけれど、口腔ケアは頑張っている」という人と、「口腔ケアはそこまで徹底していないけれど、間食はしない」という人では、後者のほうがむし歯や歯周病はになりにくい、という印象を受けます。
まずは間食の回数を減らす(できればしない)ように心がけ、食べる場合はお菓子や菓子パンなどの糖類から、チーズやゆで卵、サラダチキンなどたんぱく質の多いものにかえてみましょう。