「PK戦(の結果)はしょうがない。体力的にはそこまでキツさはなかったので、そこにいくまでにしっかり決めたかったという悔しさしかない」
スペイン戦ではライン際のボールを「1ミリ」の差で生かし、日本を勝利へと導いた三笘は「PKを蹴った責任はある。チームに迷惑をかけてしまった」としながら、こう続けた。
「チャンスで行き切れなかったことには悔いが残っている。決勝トーナメントでも、やることは一緒。ボールがくれば、ドリブルで仕掛けようと思っていたし、守備時には左サイドからやられないように考えていた」
■思い切りを欠いていた
格上相手に勝利したドイツ戦、スペイン戦では、その采配が称賛された森保一監督(54)だが、クロアチア戦では先制したこともあり、これまでの思い切りを欠いていたと言われてもしかたがない。
「モドリッチを擁するクロアチアの強力な中盤にも日本は恐れることなく、戦っていたのには感銘を受けた。PK戦の敗戦はしかたない。120分のうちにより勝つチャンスがあったのは日本だった。パラレルワールドがあれば、日本が勝っていたかもしれない」
試合を取材していたドイツ人のフロリアン・クレベル記者は、日本の戦いをそうたたえた。
後方で守備を固め、少ないカウンターでドイツとスペインを沈め、クロアチアと真っ向勝負を演じた戦いぶりは世界にインパクトを与えた。だが、とくにドイツやスペインに対しては日本が理想とするボール保持率を高めるサッカーをほとんどやらせてもらえなかったのも事実だ。
開幕前は司令塔として期待を集めた鎌田は「最低限やるべきことはやったが、得点など期待された活躍ができなかった部分は実力不足」と大会を総括したうえで、こう続けた。
「1次リーグでドイツやスペインに勝てたが、彼らと対等かと言われたらほど遠い。自分たちがどこを求めているかもあるが、ベスト8以上を目指すのであればいまのままでは難しい」
1次リーグ突破は果たしたが、結果は過去と同じ16強。日本が大会をあとにしたいま、森保ジャパンの戦いぶりを称賛する声が増えているが、ねぎらうと同時に現実を直視しなければベスト8進出は遠い夢のままである。(ライター・栗原正夫)
※AERA 2022年12月19日号