「アナフィラキシーなど重篤な副反応が出ても救命できますが、死んでしまったら取り返しがつきません。20代、30代で基礎疾患もない人が亡くなっているのはおかしいと考えるべきです。死亡例について正面切って臨床研究を重ねていけば、対処法はあるはずです。厚労省はそれをやらないから、ワクチン不信を助長するのです」(同)
副反応は確かに怖いが、それでも、ワクチンを打つメリットのほうが上回りそうだ。前出の宮坂医師がこう指摘する。
「副反応は免疫反応の一環です。高齢者はもともと人間に備わっている自然免疫が下がっていますから、副反応のリスクも少ない。感染を収束させるためには、やはり、できるだけ多くの人がワクチンを接種するべきです」
それに加え、宮坂医師によればファイザーやモデルナのワクチンの最大の特徴は、高齢者にも若年者に負けないくらいよく効くことだという。
「mRNAワクチンは脂質ナノ粒子という形にして体内に入れますが、この粒子はリンパ管の中に直接入る性質を持っています。高齢でリンパの流れが少々悪くても、免疫反応が始まるのに最も大事な細胞である樹状細胞まで迷わず送り込まれます。このため、抗体をつくるB細胞も感染した細胞を攻撃するT細胞もうまく刺激されて、強い免疫反応が起きるのです」
このため、感染予防にも発症予防にも力を発揮するという。だが、もしワクチンを接種後、具合が悪くなったらすぐにかかりつけ医に連絡することを心掛けておきたい。(本誌・西岡千史、亀井洋志)
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※週刊朝日 2021年7月2日号