7月に三谷幸喜さん演出の舞台「日本の歴史」出演を控える、俳優の宮澤エマさん。最近では、NHK連続テレビ小説での巧みな演技が大きな話題になっています。作家の林真理子さんが、役作りや三谷さんとのエピソードなどを伺いました。
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林:宮澤エマさん、こんにちは。
宮澤:はじめまして。
林:「おちょやん」(NHK朝ドラ)の栗子さん、ほんとに素晴らしかったです。
宮澤:ありがとうございます。林さんが出演されたNHK「あさイチ」の「プレミアムトーク」を見ていたら、私のことをほめてくださっていて、もうビックリでした。うれしかったです。
林:この若い人が、なんでこのおばあさんの役ができるんだろうと思いましたよ。表情とかしぐさを無理につくらずに、内面からにじみ出るもので老いた人を表現していらしたから、うまいなあと思いました。
宮澤:うれしいです。ドラマの最初1週間しか登場しなかったんですけど、ドラマの後半で、30年の月日を経て再び登場するということはわかっていたんです。なので、再登場するときは、さぞ大変な人生を歩んできたであろう栗子の30年という年月の長さを感じさせなきゃいけないと思って演じました。特殊メイクをするのではなく、栗子の精神をどう表現したらいいかをすごく考えました。
林:なるほど。最初のころ、おちょやんの意地悪な継母として若い栗子さんが登場したとき、とても色っぽくてきれいなんだけど、決して幸せな人生を歩んできたわけじゃないのだろうという感じがにじみ出ていました。それがあの後半の登場シーンにつながってきたんだなと思って、ドラマを最初から見てきた人は、あそこで腑に落ちたと思う。
宮澤:ああ、うれしいです。そう言っていただけて。
林:不幸なおちょやんの人生に、ことあるごとにそっと花束を届けて去っていくという人で、家族を失ったおちょやんも、栗子がいたから救われたんですよね。素晴らしかったです。
宮澤:ほんとにありがとうございます。