林:ちあきなおみさんの「夜へ急ぐ人」っていう歌があるじゃないですか。あの中に「心の深い闇の中からおいでおいでおいでをする人」って歌詞があるでしょ。今月号の「銀座百点」でミッツ・マングローブさんと元NHKアナウンサーの山川静夫さんがそれについて対談をしていて、「ほんとに気味が悪い歌ですね」って(笑)。あの歌、相当コワいですよね。

宮澤:ほんとにおっそろしい歌ですね。あの歌をNHKの「紅白」で歌おうと思われる発想、それを歌い上げる歌唱力、それによって見ている人が引いてしまうほどの世界観を、わずか2分30秒なり3分間でつくり上げる歌手って、ちあきなおみさん以外にいらっしゃらないと思うんです。私なんか歌いたくても歌えないなと思いますね。

(構成/本誌・直木詩帆 編集協力/一木俊雄)

宮澤エマ(みやざわ・えま)/東京都生まれ。米オクシデンタル大卒、在学中に英ケンブリッジ大へも留学した。宮澤喜一元首相は祖父。2012年にデビューし、演出家・宮本亞門氏の勧めでオーディションを受け、13年に舞台「メリリー・ウィー・ロール・アロング~それでも僕らは前へ進む~」に出演。その後、「女の一生」「ウェイトレス」など舞台を中心に活躍。7月に三谷幸喜が手掛ける舞台「日本の歴史」(7月6~18日新国立劇場中劇場 23~30日梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)への出演を控える。22年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」出演も決定している。

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週刊朝日  2021年7月9日号より抜粋