──あの報道の時、山尾さんは民進党の幹事長に就任が内定していました。そんなタイミングで、誤解を招くかもしれない行動をするべきではなかったという見方もあるのでは。

(間髪入れず)そうは思いません。「誤解を与えるな」「脇をしめろ」、この二つを言われ続けたここ数年ですが、衆人の目にさらされながらすべて気にして行動をしていたら、自分なりの生き方ができない。政治家も豊かな人生を送るべきだと思います。いろんな人と会ったり、コンサートに行ったり、絵を見たり、一人でふらついたり。それができないのは人間味のふくらみのようなものをそぎ落としていくことだと思うんですね。だから基本的には、誤解を恐れて行動を萎縮させない、必要以上に脇をしめないと思ってやってきましたし、そういう形でしか私はできない。

──しかし、報道された弁護士を政策顧問にされたのには驚きました。

 私は、何か法律を作りたいと思ったら、その専門家と一緒に条文を作っていく。それが当たり前になっていて、外部の人とつながって具体策を作っていくのが私のやり方だからです。

──彼には今回の決断を相談されたんですか。

 家族以外に誰と話したかということは言いたくないです。

──お話を伺っていると、いつかは政界に戻ってくるように思えます。来年の参院選に他党から出るとかありませんよね?

 もうこれはないとか今の気持ちで縛っても意味がないと思っています。私はこれまでの人生の決断を身体感覚で決めているところもあるんですね。(ミュージカルの)アニーに出る時も、検事になる時も、選挙に挑戦する時も。だからこれからもそうしていくと思います。

(聞き手/朝日新聞編集委員・秋山訓子)

山尾志桜里(やまお・しおり)/衆議院議員(当選3回)。1974年、宮城県生まれ。子ども時代、ミュージカル「アニー」で主役を演じる。東大法学部から検事を経て2009年の衆院選で初当選。民進党政調会長などを歴任。20年に立憲民主党を離党し国民民主党に入党。党憲法調査会長・広報局長兼シンクタンク戦略室長

週刊朝日  2021年7月9日号より抜粋