うつ病はもしかしたら、これ以上体に負担をかけたら死にますよという、脳からのサインなのかもしれません。脳も体も限界で、自己防衛本能が働いているともいえます。
うつの主な症状は3つあります。「頭の中がもやもやする」「決断することができない」「何をやっても楽しく感じない」。運動したり環境を変えてみたりすると、症状が変わってきます。靄(もや)が晴れてくるというのでしょうか。白黒(モノクロ)の世界が、カラーに変わるという体験を、私はしました。
■副交感神経をしっかり働かせることが大切
コロナ禍になり、私の整体院にも体や心の不調に対する問い合わせが増えました。患者さんのなかには、「不安で調子が悪くなりました」という、要因が漠然としたものもあります。そういう人にはまず、体を整えて、考え方を変える練習を一緒にしていきましょうと伝えます。常にストレスが貯まり、体が緊張している状態をリラックスさせるには、副交感神経をしっかり働かせることが大切です。
自律神経の働きには、活動したり、興奮したりしたときによく働く交感神経と、リラックスしているときによく働く副交感神経があります。この2つの神経は同時には働けないので、片方が働いているときは、もう片方は待機しています。
人間はこの2つの神経が必要に応じて入れ替わって働き、バランスを取りながら生命を維持しています。しかし、現代は「自律神経のバランスが乱れる」人が多くなっています。これは交感神経ばかりが活発に働いている状態です。この状態が続くことで、さまざまな不調を引き起こしています。
■交感神経のスイッチが入りやすいのは、命を守るため
交感神経と副交感神経の特徴はほかにもあります。交感神経はすばやくスイッチが入る神経。その逆にゆっくりスイッチが入るのが副交感神経です。交感神経のスイッチが入りやすいのは、人間が危険(ストレス)を察知したときにすぐにそれを回避して命を守るため。生存のために必要な機能です。危険回避の真っ最中に、副交感神経のスイッチが入ってしまったら危険を避けられず命を落とすことにも。だからゆっくりスイッチが入るのです。