ハワイやアラスカを除くアメリカと日本の時差は13~16時間。ヨーロッパも日本と大きな時差がある。鈴木氏によると、決勝など目玉協議のハイライトは、欧米の時間帯に合わせて予定が組まれるという。

「バスケットボールは欧米で人気ですから、欧米の視聴者が見られる放送時間にしてくれとなるわけです」

 パスケは埼玉県の「さいたまスーパーアリーナ」が舞台。埼玉県はまん延防止等重点措置の状況で、飲食店も時短営業を強いられているが、一番遅い試合は21時からだ。

 アメリカでは、陸上と水泳も人気スポーツ。IOCの公式サイトの競技スケジュールでは陸上100メートル男子などは8月1日19時からとなっている。

「陸上の100メートルの決勝は午後10時近くなると思います。水泳の決勝は午前中に終わることが多い。日本の午後というのはアメリカの夜中ですから。アメリカの放送局は放映権料の契約をIOCと結ぶ時、条件として、これだけ払うからIOCに日程的なもの、時間的なものを配慮してくれということを要求しているんですよ」

 対して、日本側はこれまで膨大な額を東京オリンピックに投資してきた。

「そうした投資や900億円の入場チケット代についても思いが残りすぎた。それどころじゃないとさんざん言ってきたんですけどね」

 結局、完全な形での開催はかなわなくなったものの、組織委の意向が大きい観戦計画の一部は実施される見込み。橋本会長は会見で、茨城県では児童・生徒らによる学校単位での観戦「学校連携観戦」を実施するという。茨城県ではカシマスタジアムでサッカーが行われる予定だ。茨城県に問い合わせたところ、オリンピックパラリンピック課の担当者はこう話した。

「県と組織委員会とで協議した上の結論です。現在、小中高合わせて23校が参加、チケットの枚数は4007枚です。23校のうち18校が鹿島市内の公立の小中学校です。一般のお客さんが無観客になりましたので、学校の生徒だけとなります。バスで往復して、一般の方とはまじわらないで観戦できますから」

次のページ