コロナ禍などでストレスや不安を感じる人が増える中、その役割が期待されている公認心理師。公認心理師の資格試験は2018年に第1回の試験が実施され、これまでの合格者は4万3720人。アエラムック『大学院・通信制大学2022』では、公認心理師をめざして大学院で学ぶ学生2人に取材した。
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桜美林大学大学院2年の清野勇介さん(35歳)は、 中学時代にヒップホップに出会い、大学時代にアーティストとしてデビュー。しかし、次第に音楽活動だけで食べていくのが難しくなり、別の仕事を模索するようになった。何をしたらいいのか、迷いながら30歳を迎えようとしていた。
「当時はバイトが終わると明け方まで友人と飲んだり、ファミレスで過ごしたりしていたのですが、あるとき、心の不調を抱えている仲間から、『清野ってけっこう話聞くのうまいし、カウンセラーっぽいよね』と言われたのです。全く知らない世界でしたが、ネットで心理職について調べてみると、けっこう魅力的な仕事だな。と思いました」(清野さん)
しかし、大学を中退していた清野さん。大学に入り直す必要があると知り、あきらめた。しかし、友人の言葉がずっと頭から離れなかったという。そうしている中、通信制大学という手段があることを知った。そして東京福祉大学心理学部心理学科(通信教育課程)へ。無事、卒業し、桜美林大学大学院に入学を果たした。
学部における公認心理師のカリキュラムは、心理学の知識を幅広く学ぶように設定されているのに対し、大学院では知識をベースに面接の技術や個別支援の実践的なトレーニングを積んでいく。
実習は複数の領域で実施する。学外の施設も使って、450時間以上おこなうことも定められている。国家資格であるため、学ぶ内容に大学院ごとの差はない。
「目指しているのはアルコール依存症など依存症のケアができる公認心理師です。音楽の現場でこうしたケースをよく見たことが大きな理由ですね。自分が長年、かかわってきた世界で何か役に立てればと思っています」