春以降一気に浮上してきたのが有薗だ。コロナ禍で試合数が少ない中でも高校通算本塁打は70本を数える。阪口の同じく変化球に対する脆さはあるものの、そのパワーは高校生離れしており、サードの守備も高レベルなのは心強い。昨年1位指名された井上朋也(花咲徳栄→ソフトバンク)と比べても総合力では遜色ないだけに、上位に浮上してくる可能性は十分にあるだろう。

 吉野も下級生の頃から評判の右の長距離砲。阪口、有薗と比べると少し細身だが、スイングに柔らかさがあり飛ばすコツを知っているのは大きな魅力だ。上背に見合う筋力がついた時に、更にスケールアップすることも期待できるだろう。

 実績という意味で最も安心感があるのは大学生の正木になるだろう。東京六大学でリーグ戦通算10本塁打を放ち、今年の大学選手権でも2本のホームランを放ってMVPに輝いている。内角の速いボールに分かりやすい弱点があり、打つ以外のプレーに特長がないという点が評価を下げる可能性はあるが、飛ばす力に関しては間違いないだけに上位候補にリストアップしている球団はあるはずだ。

 人材難が叫ばれることの多い捕手も繰り上がって上位に入ってくることがあるが、今年の候補でナンバーワンと言えるのが古賀悠斗(中央大)だ。高校時代からその強肩強打は評判となっていたが、大学でも順調に実力をつけてきた印象を受ける。特に今年に入ってからは打撃の確実性が明らかにアップしており、春のリーグ戦では3割を大きく超える打率をマークし3本塁打も放っている。捕手の世代交代が急務の球団は上位の枠を使っても惜しくない選手と言えるだろう。

 近年、近本光司(阪神)、小深田大翔(楽天)といった社会人のスピードがある選手が1位に浮上してきたケースもあるが、その枠に当てはまる可能性があるのが藤井健平(NTT西日本・外野手)と水野達稀(JR四国・遊撃手)の2人だ。藤井は高校時代から強肩が目立つ存在だったが、社会人で打撃とスピードに磨きがかかった印象を受ける。外野手の即戦力として期待できるだろう。水野は小柄だがパンチ力とスピードが魅力のショートで、守備も年々安定感が増している。高校卒3年目と若さがあるのも魅力だ。

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今年もサプライズ指名はあるのか?