──センター試験で出題された「発音、アクセント、語句整序などを単独で問う問題」はなくなりましたが、発音や文法は大事なのではとの声もあります。

小野:発音や文法は当然重要です。共通テストでは、実際に英語を読んだり聞いたりする中で使えるかを問うています。例えば“as…as”という文法知識について、センター試験では語句整序の問題として単独で出題されていました。共通テストではウェブ上の旅行情報のやりとりを読む中で活用できるかを問うています。発音についてもリスニングの中で“won’t”と“want”という語を正しく聞き分けないと正しく理解できない問題などを出題しています。

■授業改善と作成方針

 共通テストには当初、「英語民間試験」「国語・数学の記述式問題」も導入される予定だったが、実施上の問題が浮上し、土壇場で見送られた。20年1月から文部科学省の有識者会議「大学入試のあり方に関する検討会議」が25年以降の導入を改めて議論したが、「実現は困難」との提言を7月上旬に提出した。

──共通テストへの「英語民間試験」「国語・数学の記述式問題」の導入が正式になくなる見通しですが、これを受けてマーク式問題も見直される可能性はあるのでしょうか。

小野:共通テストは、受験者の能力を多面的・総合的に測ることを大きな目標にしてきました。この基本的な方向性は変わりません。その上で、今回の外部評価や、「検討会議」の提言なども参考にしながら、マーク式の中でできる限りの工夫を重ねていくことが大事だと考えます。

──今回の入試改革の頓挫について「入試で教育を変える」という発想が間違っていたと、検討会議の委員をはじめ識者たちが指摘しています。一方、共通テストの問題作成方針には「高等学校における『主体的・対話的で深い学び』の実現に向けた授業改善のメッセージ性も考慮し」、場面設定を重視した作問をする、と書かれています。矛盾しないでしょうか。

小野:入試改革は、高校教育が変わらないから入試を変えるのではなく、むしろ逆に、高校教育が変わろうとしているからこそ入試も変わらなければならないという考えに立っています。先生方が、目指したい授業と入試対策の間で板挟みにならないようにしなければなりません。

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