31年続いたセンター試験の後継となる「共通テスト」。思考のプロセスをたどらせる問題が目を引いた(撮影/写真部・張溢文)
31年続いたセンター試験の後継となる「共通テスト」。思考のプロセスをたどらせる問題が目を引いた(撮影/写真部・張溢文)
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 今年1月、初めて行われた大学入学共通テストは、多くの関心と話題を呼んだ。大学入試センターは、外部の声をどう受け止め、試験内容を自己評価しているのか。AERA 2021年7月26日号で、作問業務を担当する小野賢志さんに聞いた。

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 大学入試センターは今年1月に初めて実施された大学入学共通テストの外部評価を6月に公表した。高校教員などでつくる「外部評価分科会」や教育研究団体が、問題が適当だったか、改革の目的に沿っていたかなどを分析・評価。これに対する問題作成部会の見解も加えまとめたのが「大学入学共通テスト問題評価・分析委員会報告書」だ。

──外部評価も受け、第1回共通テストを大学入試センターではどう自己評価していますか。

小野:今年のテストは、総じて共通テストの趣旨にふさわしい問題になっていたという評価が得られたと受け止めています。

──「報告書」では、試験を肯定する評価が多い一方、厳しい声もいくつかありました。例えば「知識の活用や読み取りといった、『技能』を問うものが多く、『思考』を評価する出題とは言い難かった」(世界史A)、「場面設定の説明が詳しすぎるため、読解力があれば生物学の知識を必要としないものも見られた」(生物)などです。

小野:一つ一つの出題については、センター試験と同様、様々なご指摘を受け止め、今後の改善のため参考にしていきたいと思います。例えば、受験者が「知識がなくても問題文を読めば解けた」という指摘については、その教科の見方や思考力が身についているから解けたとも考えられます。正答率や誤答分析などにより、丁寧に検証する必要があると考えます。

──共通テストの狙いは「知識・技能」に加え「思考力・判断力・表現力」のさらなる重視です。それらの力が測れたか、検証が大事だといわれています。一方で、世界史の外部評価分科会では「思考・判断」を評価する問題の割合を算出しようとしたものの、何をもって「思考・判断」とするのか議論が紛糾した、と報告しています。大学入試センターでは、思考力や判断力が測れたかを具体的にどのように検証するのでしょうか。

小野:「知識・技能」と「思考力・判断力・表現力等」は異なる観点ではありますが、完全に切り離せるものではありません。共通テストでもどちらかだけを問う問題はあまりありません。

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