「それは誤解で、そもそも個人情報は一元管理されていません。各省庁や関係団体が個別に管理(分散管理)しているため、仮に1カ所で漏洩があっても全ての個人情報が筒抜けになることはない。また、役所間の情報のやり取りも、マイナンバーではなく別のコードで行われています。そのためたとえ行政機関の職員であっても、職務に関係のない情報を取得すること(例えば税務署の職員が病歴を調べるなど)はできない仕組みになっています」(水町氏)

 現時点で、マイナンバーの利用、収集、保管、提供の可否は、「マイナンバー法」によって厳密に条件が定められており、適切に運用されれば個人情報が漏洩する危険は低い。しかし今後、「マイナンバーの規制が緩和されて利用範囲が広がることで、漏洩リスクが高まることはあり得る」と水町氏は指摘する。

「現時点でマイナンバーの利用は、税や社会保障、災害対策に限定されていますが、今後例えばグーグルやLINEのID、PASMOなどの交通系ICカード、クレジットカードなどに紐付けられるようになると、ネットの閲覧履歴や購入履歴、移動履歴など、あらゆる個人情報が集約されてしまう。マイナンバーでできることが増えれば、それだけ詐欺などの犯罪行為に利用されるリスクも高まることに注意しなければなりません」

 その意味では、利便性と安全性はトレードオフの関係にある。政府がマイナンバーの普及促進を進める中でどれだけ安全性を担保できるのか、注視したい。(ライター・澤田 憲)

※記事前編>>「マイナ保険証のメリット・デメリット 患者“選別”の可能性も」はコチラ

※週刊朝日 2022年12月9日号より抜粋

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