※写真はイメージです (GettyImages)
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 河野太郎デジタル相による「健康保険証の廃止」発言で、にわかに再燃したマイナンバー問題。マイナンバーカードの普及には、どのようなメリットやリスクがあるのか。マイナンバーカードの取得で最大2万円分のポイントが得られる申請期限は12月末まで。「税」「個人情報」の観点から、それぞれの識者にマイナンバーのメリットとリスクについて聞いた。

【図表】マイナンバーカードで受けられるメリットはこちら

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Q:マイナンバーカードは節税にも使える?

 マイナンバーが税制に与える影響についてみていこう。

 主にかかわるのは確定申告だ。16年度分から、確定申告書へのマイナンバー記載が義務付けられるようになった。また、税務署に提出する源泉徴収票や支払調書にもマイナンバーは記載される。これら取引先の提出書類と確定申告書の照合作業をマイナンバーで効率化することで、収入の申告漏れや無申告の抽出精度を上げ、脱税などの不正を防ぐ狙いがある。

 事業者側にもそれなりにメリットはある。税理士法人浅田会計事務所の税理士の山中俊郎氏は、「マイナポータルとe-Taxを連携することで、確定申告の手続きが簡単になる利点はあると思います」と話す。

「従来は、発行者から送られてくる控除証明書(保険料控除証明書やふるさと納税の寄付金受領証明書など)を手作業で1件ずつ確定申告書に入力し、かつ原本を自宅で5年間保管する必要がありました。しかしマイナポータルと連携することで、これらの控除証明書をデータで一括取得できるほか、取得したデータは確定申告書に自動で入力されます。作業時間が短縮され、転記ミスもなくなる。さらにデータとして残るため、紙の証明書を添付したり、保管する必要もありません」

 現在マイナポータルからは、医療費控除、ふるさと納税(寄付金控除)、生命保険料控除、地震保険料控除、住宅ローン控除の証明書のほか、今年10月からは社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の取得も可能になった。また、マイナンバーカード等を使ってe-Taxで確定申告を行えば、青色申告特別控除額に10万円の控除が上乗せされる。

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