週刊朝日 2022年12月9日号より
週刊朝日 2022年12月9日号より

 一方で、「法人業務では、マイナポータル活用の利点はまだほとんど感じられない」と山中氏は話す。

「マイナポータルと連携することで年末調整業務も簡単になるはずですが、現時点ではあまり普及していません。経理担当者が社員の控除証明書等のデータを得るためには、社員一人ひとりがマイナポータルに登録して情報を取得しなければならない。それだと社員にとっては、今までどおり送られてきた証明書をまとめて経理担当者に渡すほうが楽なわけです。給与所得者にとっては、いまいちマイナンバーカードを作るメリットが感じにくいのではないでしょうか」

Q:個人情報の流出が心配。セキュリティーは万全なの?

 そして、やはり気になるのは個人情報保護の対策だ。どのようなセキュリティー対策が施されているのだろうか。

 宮内・水町IT法律事務所の弁護士で、内閣官房・特定個人情報保護委員会でマイナンバーの制度設計などにも携わった水町雅子氏は、「マイナンバーはいわば社員証番号のようなもので、他人に知られてもそれだけで情報が漏洩することはない」と話す。

「情報漏洩の可能性としては、例えば第三者にマイナポータルにログインされることなどが考えられますが、ログインにはカード取得時に設定した4ケタの暗証番号のほか、マイナンバーカード自体をカードリーダーやスマホで読み取る必要があります。従って、マイナンバーや暗証番号が流出しても、それだけで個人情報が奪われることはありません」

 万一、マイナンバーカードを紛失した場合は、コールセンターに連絡すればカードの利用を一時停止することができる。

 また、カードのICチップには、税や年金、病歴といったプライバシー性の高い情報は記録されておらず、不正に情報を取り出そうとすると壊れる仕組みになっている。さらにマイナンバーを第三者に知られた場合、自治体に申請すればマイナンバー自体を変更することも可能だ。

 一方で、マイナンバーによって個人情報を一元管理することで、どこかから情報が漏洩した場合、芋づる式に個人情報が丸見えになってしまうのではないかという不安の声もある。

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