スポーツ紙記者は西矢の快挙についてこう語る。

「無理して笑顔を作っているのではなく、あの大舞台を本気で楽しんで笑っていた。信じられないメンタルですが、彼女は五輪内定を決めた世界選手権の時も崖っぷちを楽しんでいる様子だった。彼女にとってこの金メダルは通過点でしょう。有言実行で今後は世界的なスケーターになれる可能性を秘めています」

 明るい未来を期待する一方で、ある警鐘を鳴らす。

「西矢は立派なアスリートです。日本は新しいヒロインが金メダルを獲得すると、競技そっちのけでアイドルとしてとりあげる傾向がある。過去にも14歳で金メダルを獲得して時の人になった水泳の岩崎恭子に対するマスコミの取材が過熱して、練習に集中する環境に苦しんだように、西矢を一時のブームとして扱ってはいけない。彼女は将来がある選手だし、まだ13歳。自分たちメディアは戒めなければいけない」

 金メダルを獲得したことで人生は劇的に変わるだろう。だが、スケートを楽しんで高みを目指す純粋な姿勢は変わらない。今後のさらなる活躍が楽しみだ。(牧忠則)