一方、賛成の理由では、
「諸外国と比して感染状況が軽微であること。ワクチンの接種が進み、重症化患者を一定程度、抑制することが可能であること」(52歳、会社員男性)
反対理由とは逆に、コロナは抑えることができるからという声が目立った。
SNSの分析に詳しい東京大学大学院の鳥海不二夫教授(計算社会科学)は、今回の安倍氏の発言を機に、ツイッター上の五輪反対派はどのような人たちなのかを分析した。
対象は、第2次安倍政権の最後の時期にほぼ重なる2019年2月~20年10月に、ツイッターに投稿された約1億3千万件。「政権支持派」と「政権不支持派」がそれぞれ、五輪賛否ツイートをどの程度拡散していたのかを確認していった。その結果、五輪反対のツイートの41.6%を政権不支持派が、五輪賛成のツイートの53.3%を政権支持派が拡散していた。
■五輪への思いは複雑
安倍氏の言う「反日的ではないかと批判されている人たち」がどのような集団を指すのか、正確にはわからない。
ただ、日本共産党の志位和夫委員長が、安倍氏の発言に「自分に反対するものを『反日』とレッテルを貼る」とツイッターで発信した。
「もしこのロジックを採用すれば、安倍前首相の言う『反日的』とは『政権不支持派』となります。五輪に反対している41.6%は安倍前首相に反対する政権不支持派といえるため、安倍前首相の月刊誌での指摘は、的外れではないことになります」(鳥海教授)
次に、鳥海教授は、党派性が強いとみられるアカウントを削除し分析を行った。その結果、「五輪反対クラスター(集団)」が約14万アカウントでトップ、次いで「野球五輪代表情報」(約3万7千アカウント)、「五輪に関するネガティブな情報」(約3万2千アカウント)、「サッカー五輪代表情報」(約3万アカウント)と続いた。
こうした結果を踏まえ鳥海教授は、(1)党派性の強い人たちは五輪に強く反対している(2)党派性を持たない人たちも五輪に反対している(3)五輪を楽しみにしている人たちもいる──この三つの側面が明らかになったという。鳥海教授は言う。