■無観客試合は選手の安全のため

 感染防御の観点からこの時期の東京オリンピック開催に懐疑的だった多くの医療関係者も、ニュースで日本選手の活躍を聞くと心が躍る。酷暑、COVID-19流行という悪条件の中、世界中から来日してくださったアスリートには感謝しかない。一流のアスリートほど普段のトレーニング量を把握し、大会に向けて最良のコンデイション作りを行っているという。そして、全てを出し切った大会後に最も感染脆弱性が高まる。

 つまり、無観客試合は観客間のクラスター発生を防ぐと同時に肉体の極限まで修行を重ねた選手たちを守るという意味もあるのである。全てのアスリートがこの大会を通じて健康に全力を出しきることを祈りたい。

◯早川 智(はやかわ・さとし)/1958年生まれ。日本大学医学部病態病理学系微生物学分野教授。医師。日本大学医学部卒。87年同大学院医学研究科修了。米City of Hope研究所、国立感染症研究所エイズ研究センター客員研究員などを経て、2007年から現職。著書に『戦国武将を診る』(朝日新聞出版)など

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