「一橋大に入ったころ、体育会バスケットボール部かバスケットボールのサークルか、どちらに入ろうか悩んでいたとき、ボート部(端艇部)の勧誘につかまりました。部のブースで説明を受け、ボート部のPVを観たのですが、これがかっこいい映像で、感情に訴えかけてくるものがたくさんあったのです。感動で押し切られる内容で、これならできると思った。そして大学日本一を狙えるというところに大きな魅力を感じ、やる気になりました」(同前)

 競歩の山西利和選手は、京都大の出身だ。京都市立堀川高校出身。競歩は同校に入学してからはじめ、高校3年のとき世界ユース1万メートル競歩で優勝している。

 2014年に現役で京都大工学部物理工学科に進み、17年、大学4年のときユニバーシアードの20キロ競歩で金メダルを獲得した。大学の卒業論文は「空間同定法を用いた信号の周波数推定」。卒業後は愛知製鋼へ入社し競技を続けた。19年世界陸上選手権男子20km競歩で優勝している。高校、大学、社会人で世界一を経験したサラブレットである。

 京都大受験について、こう振り返っている。

「秋、冬まで、ずっとE判定(合格可能性20パーセント程度)でした。夏のインハイや国体に出ると、本格的に勉強できるのは3年の2学期以降になるので、多少の焦りはありました。ただ、いきなり背伸びをして過去問に手を出すよりも、基本的なところを押さえる必要があるなと。(基本的な問題で)取りこぼしをしないように、特に物理と化学は11月くらいまで、基礎固めに時間を費やしていた記憶があります。その結果、京大の過去問に取り組むのは初冬頃からになりましたが、基礎を固めたおかげで、年末以降はまたC判定が出るようになりました」(「web Sportiva」2021年6月27日)

 岩手大出身では、競歩で高橋英輝選手が出場する。岩手県立花巻北高校時代から競歩を始めた。大学入学後に力をつけて、4年のとき日本選手権20キロメートル競歩で日本新記録で優勝している。富士通に入社後はさらに技量を磨き、日本選手権2連覇を飾って、16年リオ大会で代表となった。岩手大初のオリンピック選手である。結果は42位だった。その後、国内敵なしで、東京2020大会を迎えた。

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横浜国立大からも五輪代表が誕生