横浜国立大出身で代表となったのが、陸上女子100メートル障害の木村文子選手だ。2012年ロンドン五輪に続き、2大会目の出場となる。広島県立祇園北高校出身。横浜国立大からオリンピック代表になった選手には、1988年大会のヨット・高橋雅之さんがいた。

 木村選手はなぜ、横浜国立大に進んだのだろうか。

 同大学陸上競技部で木村さんの3年先輩にあたる、大学スポーツサイト「4years.」編集部の松永早弥香さんが次のように記している。

「(横浜国立大学陸上競技部は)強豪校のように指導者が鍛え上げるのではなく、学生自身がメニューを考えて部を運営するような、一人ひとりの自主性を重んじる方針だ。3年生が主将となり、幹部として部を率いるのも特徴のひとつだろう。強豪校から声をかけられていた木村が横浜国大を選んだのは、その雰囲気が自分に合っていると思ったからだ。(略)

 木村は入学する前、四つの大学の陸上部を見学した。初めて横浜国大を訪れた日のことはいまでも覚えている。『広島から来たの? すごいね』と部員に言われ、『絶対入って!』と歓迎を受けた。『推薦入試を受けるなら、対策を手伝うこともできるよ』と声をかけてくれた部員から後日、過去問が届いた。『自分もやってもらったことだから』という言葉からも、仲間意識が強い部だということが伝わった。見学で感じたアットホームな雰囲気は、入部後も違和感なくすっと肌になじむものだった」(朝日新聞「4years.」2018年12月2日、https://4years.asahi.com/article/11973402

 国立大学からも優れたアスリートが生まれ、世界と互角にたたかっている。国立大学で競技に打ち込む学生にとっては、大きな励みになるはずだ。

(文/教育ジャーナリスト・小林哲夫

後編「筑波大から東京五輪に24人が出場 スポーツに強い国立大学は?」に続く>

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