東京五輪は8月3日、ボクシング女子フェザー級決勝が国技館であり、入江聖奈(せな、20)=日体大=がネスティ・ペテシオ(29)=フィリピン=を5―0の判定で破り、金メダルを獲得した。同競技で日本女子のメダルは初めて。
女子は2012年ロンドン五輪から正式種目に採用され、今大会は日本から初めて入江とフライ級の並木月海(22)が出場した。並木も銀メダル以上が確定している。ボクシングでの日本人のメダル獲得は、1964年東京五輪の桜井孝雄(男子バンタム級)、12年ロンドン五輪の村田諒太(男子ミドル級)に続き、3人目。
入江の決勝の相手は、19年世界選手権を制した強敵だった。だが、序盤から得意の左ジャブを使って積極的に攻撃し、相手を圧倒。第2ラウンド(R)では相手の強いパンチを受けて劣勢になる場面もあったが、最終第3Rでは激しい打ち合いの中、自慢のフットワークを生かして前に出て、相手のボディーに連打も決めた。
入江は試合後、「試合は記憶があいまいで、気が付いたら表彰台に立っていた。君が代が流れたときに世界一になったんだなと実感があってうるうるした」と喜びに浸った。
カエル好きで知られる。
「今日だけはトノサマガエルになれた」
とうれしさを表現。
「有終の美で終わりたい。大学いっぱいでボクシングはやめるつもり」
と3年後のパリ五輪は目指さないことを明かした。
飾らない受け答えで、何度も報道陣を爆笑させた。
「ボクシングしている女の子って聞くと、暴力的だったり、気性の荒い方を想像しちゃうかもしれないですけど、そんなことなくて。代表メンバーもそうですけど、温厚ないい人たちばかり。ボクシングの“野蛮な”イメージを払拭(ふっしょく)できたらうれしいなと思います」
と笑顔で語っていた。
試合後の報道陣との一問一答は次のとおり。
――おめでとうございます。
何も覚えていなくて、気が付いたら君が代が流れていたんですけど。