そんなふたりの「特別」っぽさを象徴していたのが、昨年リリースされたシングル「KANZAI BOYA(カンサイボーヤ)」。最初につけられた幻のグループ名をネタにしたものだ。「カンサイ」が「KANSAI」ではなく「KANZAI」なことについて、ふたりがジャニーに尋ねると「ZAのほうがカッコいいじゃん」という答が返ってきたという。そんなジャニー独特のセンスをいじった、一種のコミックソングである。
「ミュージックフェア」(フジテレビ系)でふたりは「今後出てくるグループって、ジャニーさんがつけられないわけじゃないですか」(光一)「いちばん最初に僕たちを見てつけてくれたKANZAI BOYAって名前が急にいとおしくなっちゃって」(剛)などと語り、作詞作曲をした剛がこんな意図を明かした。
「東京ドームとか京セラドームで大人数で、KANZAI BOYAをとにかくめちゃくちゃ言う曲を作れば、天国のジャニーさんもちょっと喜んでくれるかな、というような思いで即席でバーッて作ったんですよ。事務所の後輩も先輩もそうですけど、心にぽっかり穴が大きく空いてしまっているのは事実で、悲しいときつらいときこそ笑いに変換していくってことで」
ジャニーさんいじりで追悼をする、というのもまさに彼らならではだ。
ジャニーズの今後がさまざまに取り沙汰されるなか、世界観の継承という意味でも、新体制の安定という意味でも、カギを握るのはキンキのふたりだろう。それこそ、彼らなら、新グループにジャニーっぽい名前をつけることもできそうではないか。(一部敬称略)
●宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など