コアなジャニーズファンなら誰もが知る派閥争いを、ネタにしてみせたわけだ。
そんなふたりは、いわばジャニー派。もっぱらジャニーズJr.の発掘と育成をライフワークとする名伯楽が、デビュー後も目をかけ続けた数少ない存在だ。ジャニーの後継者でもある滝沢としては、やはり無視できない存在である。
たとえば、キンキが残っていれば、ジャニー存命中の発掘・育成システムも新体制に伝わりやすくなる。また、木村以外の元SMAPたちが古巣とのよりを戻すための橋渡し役も担えるわけだ。
逆に彼らまで離脱するようだと、ジャニーズが60年にもわたって築き上げてきた歴史がそこで分断されてしまいかねない。山下達郎は作曲した「硝子の少年」について、
「フォーリーブスの時代を生きたママたちと、今のKinKiの時代を生きる娘たちが、時間を超えてつながるものを表現したかった」
と語っているが、そこから20数年。キンキはまさに、ジャニーズの歴史のど真ん中にいる。その世界観を、過去から未来へとつなぎうる存在なのだ。
他のジャニーズタレントと比較しても、彼らほど、ジャニーが愛し、描こうとした世界観を体現している存在はない。やんちゃタイプの剛と王子様キャラの光一という組み合わせの妙。タッキー&翼も似た構図だが、ジャニーとの関係ではキンキのほうが濃密だった。
剛が事務所的にはタブーに近いシンガー・ソングライター的な活動まで認められたのは、ジャニーがその人懐っこさをかわいがっていたからだし、光一は舞台へのストイックな取り組みでジャニーから同志的な信頼を得た。滝沢が引退して裏方に回ったのは、芸能人としての自分を捨てることで光一が得た信頼を超えようとしたからとも考えられる。
キンキのほうでも、自分たちが特別なことは感じていたのだろう。トーク番組などで「ジャニーさんいじり」を始めて、ジャニーズタレントのお家芸のようにしてしまった。最初にやるのは勇気がいる。いじっても許されると思っていなければできないことだ。