日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「先進国と日本のワクチン接種後の生活の違い」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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7月23日から17日間にわたって開催された東京2020オリンピックが終わりました。
1年間の延期、新型コロナウイルス感染症の大流行、熱中症、そして台風もやってきて、歴史に残る五輪になったことは間違いないでしょう。それに加えて、人種差別への抗議や、他国への亡命、メンタルヘルスへの問題提起、性の多様性などについて、選手たちが問題提起をする姿も印象的でした。一日も早くパンデミックが終焉し、3年後のパリ大会が無事開催されることを願うばかりです。
さて、なんとか閉会することができた五輪ですが、オリンピックは自宅で応援せよ、県境を越えた移動をできるだけ控えよ、外出は自粛せよと呼びかける一方で、「オリンピック特例」なるオリンピック選手だけ特別扱いをしたことに対する矛盾を感じているのは私だけでしょうか。
今、日本政府は水際対策を強化しており、ほとんどの国からやってくる外国人を「特段の事情」がない限り上陸を拒否しています。コロナの陰性証明書に加え、入国後14日間の自主隔離、契約書の提出を求めています。なんと、自主隔離など感染防止策に従わない場合、氏名を公表するなどペナルティーを科す措置まで設けている一方で、ワクチン接種の有無については特に触れられていない状況です。
一方で、オリンピック関係者は「特別扱い」でした。オリンピック選手や関係者であれば、「五輪特例」として14日間の待機は不要、コロナ陽性者でも日本に入国でき、さらに濃厚接触者も14日間の隔離や待機が免除となっていました。国民には自粛や我慢を強いる一方で、五輪だけは特別扱いというダブルスタンダードな対応に疑問を感じます。