グランプリ(GP)シリーズ第5戦・NHK杯が11月18~20日に札幌で開かれた。日本勢は男子とペアで優勝、多くの選手がグランプリファイナル出場を決めるなど、存在感を見せた。AERA 2022年12月5日号の記事を紹介する。
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グランプリ(GP)シリーズ第5戦・NHK杯ではペアの2人も会場を熱くした。昨季の世界選手権で銀メダルの三浦璃来(20)、木原龍一(30)組。今季はハプニングからのスタートだった。
「GP開幕前に三浦さんが肩を脱臼してしまい2カ月くらい練習できず、イメージと現実のズレが大きくて苦しんだ時期もありました。10月のスケートカナダを(優勝で)乗り切って自信がつきました」(木原)
SPはパーフェクトの演技で、78.25点の首位発進。三浦は木原への感謝を口にした。
「私の肩のテーピングが6分間練習前に取れて焦っていたら『一回落ち着きなさい』って。それで自分を取り戻せました」
フリーは小さなミスはありながらも、演技全体のスピードと一体感は秀逸。216.16点の自己ベストでの優勝は今季の世界1位となるスコアで、GPファイナルの頂点も見えてきた。
「ファイナルでは完璧というよりは、私たちらしい、笑顔で滑る姿をお届けできれば」(三浦)
■オペラ座の怪人に注目
アイスダンスは、村元哉中(29)、高橋大輔(36)組が存在感を見せた。リズムダンスは切れ味ある踊りで5位発進し、日本での初披露となるフリー「オペラ座の怪人」に注目が集まった。15年前、高橋を世界の表彰台へと導いた曲である。
「僕が初めてパーフェクトな演技をできた思い入れのある曲。聴いただけでファントムになりきってしまいます」(高橋)
シングル時代の振り付けは仮面を剥ぐしぐさで終わるが、スケート人生の「第2章」という意味を込めた今回は仮面を剥がされるシーンからスタートする。
本番、怪人が歪んだ愛を求める場面を高橋が熱演し、クリスティーヌの葛藤を村元が全身で表現する。後半、リフトでフラつく高橋に頭上から村元が「踏ん張って」と叫ぶ場面もあった。