チームの中心選手であるならば、どんな場面であってもためらいなく出せるが、初選出が大舞台といった選手は、起用の場面を序盤から考えてあげないといけない。これで青柳は緊迫した場面で起用することが難しくなってしまった。
他国の試合も見たが、この戦力ならば日本は金メダルを取らないといけない。2枚、3枚としっかりした投手がいる相手だったら、開幕戦も準々決勝も落としていた。(編集部注:この原稿の締め切り後の8月7日、日本代表は決勝で米国を2対0で破り、金メダルを獲得)
願わくば、選手が五輪という特殊な試合で自信を手にして、ペナントレースに戻ってほしい。特に山本由伸(オリックス)、平良海馬(西武)、村上宗隆(ヤクルト)らは日本の野球界を引っ張ってもらわないといけない存在だ。後半戦で、ひと回りもふた回りも成長した姿を見たい。
次回のコラムで、日本代表の戦いを振り返りたいと思う。今回代表に選ばれなかった選手も、仲間の戦いや、他競技の選手から多くの刺激をもらっていると思う。その熱気をペナントレースに持ち込んでもらいたい。
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
※週刊朝日 2021年8月20‐27日号