懲役12年の実刑判決が下った飯森裕次郎被告(C)朝日新聞社
懲役12年の実刑判決が下った飯森裕次郎被告(C)朝日新聞社
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 2019年6月、大阪府吹田市の交番で警察官を包丁で襲撃し、重傷を負わせて拳銃を奪った飯森裕次郎被告(35)の裁判員裁判が8月10日、行われた。大阪地裁は強盗殺人未遂罪などに問われた飯森被告に対し、懲役12年(求刑・懲役13年)の実刑判決を言い渡した。

【写真】飯森被告の父親が常務を務める関西テレビが出した謝罪コメント全文がこちら

 裁判での争点は、飯森被告の刑事責任能力だった。検察側は精神鑑定から、限定的な責任能力はあるとして、本来なら懲役25年程度の求刑を13年としていた。

 飯森被告は一連の犯行について「頭の中の妄想で出てくる、恐ろしい精霊さんの指示で行った」「精霊さんが警察官を襲え、拳銃を奪えと言われた」などと主張。弁護側は「統合失調症の疾患による犯行」と無罪と訴えた。

 その一方で、犯行直前には沖縄県を旅行し、好きなゴルフをプレー。その前後には、出会い系サイトで知り合った女性に多額の金額を支払い、性的な関係を持ったことが裁判で明かされた。

 飯森被告はそれについても「精霊さん(の指示)」と語った。
犯行前、飯森被告は東京で両親と暮らしていた。父親は当時、大阪の準キー局、関西テレビの役員だった。飯森被告の通院などに付き添っていた母親は、法廷でこう証言していた。

「ニュースで事件を知った時、胸騒ぎがしました。息子は大阪に行っていました。事件現場は昔、住んでいた千里山。その日の夕方、警察から連絡があって息子が事件を起こしたと知った」

 飯森被告は大学卒業後、「電車に乗っている人が頭に入ってくる」などと言い始め、病院で統合失調症という診断を受けていた。約4年間、引きこもり生活を送った後、好きなゴルフの練習場に勤務した。母親は犯行前の様子をこう語っていた。

「統合失調症の治療は続けており、クスリを飲むところも確認していた」

「投薬が減っていたので、統合失調症がよくなっていると思った」

 統合失調症で引きこもりだったこともある飯森被告が、自らチケットを取り、ゴルフ場を予約して沖縄県を旅行できるのか。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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