それをもとに身元が判明しないように公衆電話から110番通報。千里山交番の周辺をうろつき、警察官が1人になったことを確認し、110番通報で出動しようとしていた警察官を出刃包丁で、何度も突き刺した。そして、カールコードと特殊なネジでつながれている拳銃を奪った。判決は以下のように断罪した。

「3分という短時間で拳銃奪取のため無駄なく、合理的に行動した」

「逃走中に着衣を買うなど拳銃を奪う目的達成のため臨機応変に行動した。犯行後も自身の犯罪行為を認識している」

「拳銃強奪は計画性をなくしてはできない。実際に成功している。幻聴に動かされるままの犯行とは考えにくい」

 飯森被告の主張した「精霊さんの指示」を疑問視し、限定的な責任能力を認めた。飯森被告に襲われた古瀬鈴之佑巡査は仕事に復帰はできたが、左肺の3分の2を切除、今も後遺症が残り、警察官として現場で勤務はできていない。

病気のせいにせず、事件のことを説明して」

 古瀬巡査は法廷で飯森被告に求めていた。

「精霊さんの指示」と繰り返し、「一番の被害者は、両親」と述べた飯森被告にその言葉は届いていたのか?

(AERAdot.編集部 今西憲之)

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大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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