文藝春秋編集長に就任した新谷学さん(撮影・遠崎智宏)
文藝春秋編集長に就任した新谷学さん(撮影・遠崎智宏)
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「DXは究極的には社内政治」と言い切り、ガラケーを愛用する新谷さん(撮影・遠崎智宏)
「DXは究極的には社内政治」と言い切り、ガラケーを愛用する新谷さん(撮影・遠崎智宏)

「文春砲」という言葉を世に知らしめた前週刊文春編集長の新谷学さん(56)。2018年から週刊文春局長として「スクープを獲る」から「稼ぐ」にシフトチェンジし、スクープをブランディング(看板化)すべく、局内のデジタル・トランスフォーメーション(DX)化に取り組んだ。今年7月からは月刊「文藝春秋」の局長兼編集長に就任し、現場の最前線に再び、立った。新谷さんが目指す文藝春秋のブランディングとは――?

【写真】「DXは究極的には社内政治」と言い切り、ガラケーを愛用する新谷さん

――月刊文藝春秋の編集長として9月号を久しぶりに校了し、手応えはどうでしたか。

新谷:台湾・蔡英文総統単独インタビュー、高市早苗元総務相の総裁選出馬宣言などタイムリーで読み応えのあるものが揃えられたと思っています。週刊文春編集長時代の後半(16年以降)からずっと思っていたのは、週刊誌って政治家、官僚、芸能人などについて基本的に批判的なスタンスで書くわけじゃないですか。結果的にその記事によって大臣、政治家、官僚辞任など、大きなダメージを書かれた相手に与えてきました。それはそれで大事な役割だと思うけど、だめだ、だめだはわかったけど、じゃあ、どうすりゃいいんだよという提言のようなものが、どこのメディアもあまりできていないような気がしていました。

 永田町の政治家が劣化している、官僚の矜持はどこにいったんだ、霞ヶ関は大丈夫か、と憂う記事はたくさんありますけど、どうやって立て直していくのか。スクラップとビルドを考えた時、週刊文春は典型的なスクラップ型のメディアだと思うけど、ビルド型のメディアはあんまりないという気がしていて、それをやりたいという気持ちはあったんですよね。どうすれば、政治はよくなるか、霞ヶ関の官僚機構はどうすればもっと機能するのか、という提言をもっともっと発信していく。

 例えば安倍政権、菅政権に対して、擁護派と批判派のメディアが二極化しているような状況が続いています。お互い同じような論者が出てきて、言葉は悪いけど、遠くから石を投げあっているだけで当たらないような、物足りなさを感じます。それならば、政権、霞ヶ関の中枢の人達も文藝春秋の誌面に出てもらって、現状を率直に話してもらう。批判に対する反論があれば、してもらうし、場合によっては当事者同士の対談でもいい。そういう場所を作りたいという思いがあって、一冊目として9月号はその思いがそれなりに反映されていると思います。

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