――NewsPicks的に文藝春秋をオンラインサロン化し、政治家や官僚が登壇するとなれば、読者層が若返るのではないでしょうか?
新谷:要は現役世代に読んでもらいたいんです。20代30代まで下げるのは相当大変だと思うけど、やっぱり50代ぐらい。私は9月で57歳になりますが、それぞれの組織の中でも、それなりの立場になった人が読んで、面白いものにしたい。この国の形をどうすべきかなどの問題意識を提言したり、国の中枢で何が起こっているのか、について関心を持っている人たちが読んで面白いものにしたいのです。
――56、7歳で編集長ということは、歴代の月刊文藝春秋では最高齢と思いますが、局長兼編集長でいらっしゃるんですよね。
新谷:一応執行役員も兼任です。
――それだけの肩書きをお持ちで、もし何か現場で起こった場合、キャリア的に厳しくなる可能性もあります。引き受けるリスクは感じませんでしたか?
新谷:全くないですね。社長から月刊文藝春秋の編集長を打診されたとき、本音ベースでやりたい仕事でしたから迷わず引き受けました。月刊文藝春秋は来年、100周年という節目です。その最前線に立てるのだからすごく幸運な巡り合わせです。私にとって文藝春秋におけるゴールは、週刊文春、月刊文藝春秋という媒体の現場を束ねる編集長です。社長になりたいというモチベーションはありませんので…。
――雑誌の編集現場がいいということですね。
新谷:例えるならば、東京地検特捜部の特捜部長にはなりたいけど、検事総長にはなりたくないという感じでしょうか。私にとって文藝春秋の創刊100周年というのは、ひとつの大きなチャンスだと思うわけです。もともと文藝春秋の創刊と共に生まれた会社なわけで、その100年に一度の契機に、新しい時代のオール文藝春秋体制を築いていく。その上で極めて大切なのがDXだと思います。
――文藝春秋社が持っているデジタル会員というのは、媒体別にわかれているんですか。例えば、週刊文春、月刊文藝春秋、Number、CREAなど…。
新谷:わかれています。さらに文春オンライン、週刊文春デジタル、週刊文春電子版の会員もいます。