千葉真一さん(C)朝日新聞社
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 19日夕方、俳優の千葉真一さんが入院していた千葉県内の病院で82歳で亡くなられた。

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 千葉さんは東映ニューフェイス出身で、俳優としてドラマ「キイハンター」やNHK大河ドラマ「風林火山」、映画「柳生一族の陰謀」、「里見八犬伝」、「仁義なき戦い 広島死闘篇」、アクション監督も兼ねた「戦国自衛隊」、「キル・ビル」など国内外を問わず数多くの作品に出演。

 その一方で「ジャパン・アクションクラブ(JAC)」を設立し、真田広之さんや志穂美悦子さん、堤真一さんら多くの俳優を育て上げて、映画のプロデュースにも力を入れていた。

 こうした輝かしいキャリアや実績をあげれば枚挙にいとまがなく、ここでは到底書き尽くすことはできない。それはあえて他の機会に譲らせて頂くことをおわびしつつ、今は故人を偲びながら、私が知る千葉さんについて筆を取らせて頂くことにする。

 千葉さんとは芸能関係者の共通の知人の存在もあり、これまで何度となく食事や酒席をご一緒させて頂いた。

 会うたびに笑顔で手を振ってくださったり、子供ほど年の離れた若輩者の私にも敬語で丁寧な言葉遣いで、それでいて時にジョークを飛ばして場の雰囲気を和ましてくださるなど、希代の俳優としてだけでなく、一人の人間としてもとても魅力的な人物だった。

 こうした態度は私に対してのみならず、同席した人やお店の店員、たまたまその場に居合わせて声を掛けて来たファンに至るまで一貫しており、輝かしいキャリアや実績を誇りながら偉ぶった態度をとる姿を見たことがないし、そもそも自慢話すら聞いたことがない。

 こちらが過去の出演作品やプロデュース作品について伺うと、テレ笑いを浮かべながらポツリ、ポツリと話してくださることはあっても、である。

 また、先輩、同輩、後輩を問わず同業者の悪口を耳にしたこともない。
 かつての教え子である真田広之さん、志穂美悦子さん、堤真一さんに関してもホメ言葉やうれしそうにその活躍を喜ぶ言葉しか聞いたことがなかった。

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子どもたちの活躍にも目を細める