その一方で、映画の話になるといつも新たな作品の構想や日本映画の未来について熱いまなざしで力強く語ってくださった印象も強い。

 日本人俳優の先駆けとして米ハリウッドに進出し、今なお海外からも高い評価を受けて多くのファンを持つ千葉さんだが、当時は先駆者ならではの苦労もあったようだ。

 それだけに日本映画、日本人俳優の未来や可能性についての思いもひとしおだったのだろう。

 そして、お子さんたちが俳優、女優として活動し、その活躍に目を細めながらも、70歳を過ぎても常に前向きにエネルギッシュに未来を見つめて挑戦し続ける姿には心から敬意を抱くとともに、勝手ながら勇気も頂いていた。

 そうした生きざまや俳優としてのストイックな姿勢は、年齢を感じさせないスタイルや恰幅(かっぷく)の良さにも表れており、エネルギッシュなイメージが強かっただけに、今回の突然の訃報には言葉を失った。

 コロナの怖さ、理不尽さを痛感しつつ、今はただ千葉さんへの感謝を胸にその笑顔を思い浮かべるばかりだ。(三杉武)

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三杉武

三杉武

早稲田大学を卒業後、スポーツ紙の記者を経てフリーに転身し、記者時代に培った独自のネットワークを活かして芸能評論家として活動している。週刊誌やスポーツ紙、ニュースサイト等で芸能ニュースや芸能事象の解説を行っているほか、スクープも手掛ける。「AKB48選抜総選挙」では“論客(=公式評論家)”の一人とて約7年間にわたり総選挙の予想および解説を担当。日本の芸能文化全般を研究する「JAPAN芸能カルチャー研究所」の代表も務める。

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