ただ、改変期恒例の特番「オールスター感謝祭」に出演した「はなまる」司会の薬丸裕英・岡江久美子は抱負を聞かれ、
「来年の春にはどうなってるかわかりません」
と、自虐的な発言をしていた。誰も成功するとは思っておらず、なかばやけくそで始まったわけだが、好評を博し、17年半も続くことになる。
その最たる理由は、他局がワイドショーを放送するなか、非ワイドショー的な手法が新鮮に映り、なごみを求める視聴者がついたこと。その「なごみ」をもたらすうえで、有効活用されたのが元アイドル的な人材だ。
司会の薬丸はもとより、曜日レギュラーに三田寛子、早見優、森尾由美、坂上(野々村)とし恵、香坂みゆきといった面々を配し、視聴者にとって懐かしい空気を醸成した。かつてのアイドルたちもそれを見て青春をすごした人たちも妻となり母となり、いわば同窓会的感覚の共有が番組の安定した人気につながったのである。
「はなまる」ほどではないが「ラヴィット!」でも似た傾向が見られる。元AKBや元モー娘。元小室ファミリーといったゲストが登場して、懐かしさをふりまくのだ。今まさにこの原稿を書きながら見ている回(8月19日)でも、峯岸みなみがロケにスタジオに活躍中だったりする。
そして何より特筆したいのが、水曜レギュラーの矢田亜希子。かつて「笑っていいとも!」(フジテレビ系)のテレフォンショッキングで自分が知り合いとして紹介したゲストに「はじめまして」と言ってしまうなど「天然キャラ」で知られるが、いわゆる押尾学事件のせいで、どの番組もそれを生かしきれずにいた。しかし、ここでは彼女の楽天的な明るさが全開だ。人生悪いことばかりではないというか、励みになる姿である。
かと思えば、ジャニーズ系や坂道系の現役アイドルも登場。爽やかな気分にしてくれる。
また、最大の売りというべき「笑い」についても、期待以上だ。「大喜利番組」と評されるほど、芸人たちが面白い答をひねりだそうとして、それを大喜利の達人でもあるMCの川島明(麒麟)が自在にさばく。ひねりだし方をしくじったときに適用される起立システムも効果的で、当てに行ってつまらない答えを言ってしまったときにも立たされたりする。見ている側も予想がつかないテキトーな面白さがあるのだ。