「ラヴィット!」の司会を務める麒麟の川島明(C)朝日新聞社
「ラヴィット!」の司会を務める麒麟の川島明(C)朝日新聞社
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「ラヴィット!」(TBS系)が面白い。視聴率も上昇傾向だ。といっても、よくて3%台だが、春のスタート当初は2%前後だったので、それなりに上向きである。

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 その魅力は、浮世離れしていることだろう。この平日朝の時間帯、他局(日本テレビ系、テレビ朝日系、フジテレビ系)ではいわゆるワイドショーが放送されている。これに対し、こちらは生活情報バラエティーだ。街ロケ企画に飲食中心のランキング企画、そして、占いコーナーなどで構成されていて、ニュース的な時事ネタはほぼ出てこない。

 たとえば、8月18日の放送では「名古屋市長」「メンタリスト」というワードが出演者の口から飛び出した。が、あくまでも芸人のウケ狙いで、笑いとして一瞬で消化される。ワイドショー的な空気をうっとうしく感じる者には、オアシスみたいな番組だ。

 なお、筆者は春まで「あさイチ」(NHK総合)を見ていた。こちらも生活情報番組だが、NHKなので、シビアな社会問題も扱う。そういう回はさすがに重苦しかったりするものの、司会の博多華丸・大吉がうまくやわらげている。

 ただ、個人的に推しだった近江友里恵アナが3月に卒業してしまった。後任の鈴木奈穂子アナも好きだが、ややテンションが下がったタイミングで「ラヴィット!」がスタート。これを機に乗り換えた次第だ。「あさイチ」と違って、コロナ禍の話もまず出てこない。今の日本、いや、世界にあって別天地へといざなってくれるのである。

 ちなみに、TBSは春までこの枠で「グッとラック!」を放送していた。ワイドショー路線だったわけだが、これが数字をとれないため、撤退して生活情報路線に移行。この戦略には、かつての成功体験が関係しているのだろう。

 1996年秋にスタートした「はなまるマーケット」のヒットだ。当時、TBSはオウム真理教との不適切な関係を批判され、ワイドショーからの撤退を決断。平日朝には生活情報バラエティーを放送することにした。

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朝は「なごみ」を求める視聴者も