しかも、学校によっては、以前からパラリンピックについて学習していたわけでもなく、全く知らない競技を観戦することになる児童生徒もいます。果たしてそれで深い学びになるのでしょうか? 「感動するから」とも言われるかもしれませんが、感動するかしないかは子どもたち自身が決める話。実際は感動する子もいるでしょうけど……、押し付けられるものではない。今回の学校観戦はリスクと教育上の意義と効果を考えた時に、いろいろ疑問符がついてしまう。

――学校観戦が始まってしまいますが……。

 実施するなら、さまざまなリスクを想定して配慮した上で、教育上の効果や意義が得られる形で、リスクを減らして実施するのが、教育現場の普通の考え方です。今回は教育上の意義、効果の上でも、子どもの健康や医療体制の安全リスクの点でも、様々な疑問があるまま、見切り発車しています。なぜそこまで学校観戦にこだわるのか? 僕はよく理解できません。

 学校観戦は誰も強制できないはずなんですよね。学徒動員なのではないかという批判をされる方を見受けますが、実際、強制的に子どもをどこかへ連れて行くということはどんな法律においてもできない。知事に“観戦に来い”と命じる権限はないし、学校行事ですので校長の考えにおいて実施するかしないかの話。校長先生には本当に観戦するのか、最後の最後まで問い直して欲しい。あとは、各ご家庭で判断いただく。保護者が観戦に反対しているのに強制的に子どもを連れて行くというのもあり得ないですから。

 パラ観戦に子どもたちが出かけることが“不要不急”かの判断が問われる。

妹尾昌俊/教育研究家、合同会社ライフ&ワーク代表。5人子育て中。ライフワークは、元気な学校を日本中に増やすために、優れた実践や真の課題を分析、翻訳すること。著書『教師崩壊』、『教師と学校の失敗学』、『学校をおもしろくする思考法』等。

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