――小池都知事は“保護者に安心してもらうために、より一層の安全対策をする”としていますが?

 安心安全と言っても、リスクはゼロにはなりません。コロナ感染者が増えている中で、相当高いかもしれないリスクを“安心安全”という言葉で装飾したって、「本当にそうなの?」って疑問を持たれるのは当然です。コロナ以外のリスクもあります。まだまだ暑いので熱中症の心配もありますし、集団で移動すると「〇〇さんがいません」といったトラブルも想定されます。児童生徒にPCR検査をするといっても潜伏期間だったら検査に引っかかるのか……言い出すとキリがないですよね。

 僕は感染の専門家ではないので、感染リスクが高いのか低いのかは評価できませんが、感染症の専門の先生の中にはリスクが高いとおっしゃっている方もいるわけです。それを考えると、そこは重く受け止めるべきで、楽観視はできないと思います。

――リスクがあっても観戦に行く教育的意義とは?

 学校観戦をこのまま強行したとしても、本人の希望や保護者の判断で休む子もいます。そうなると、限られた子たちだけが観戦して、どこまで教育的意義なり効果は高いのでしょうか?しかも、引率の先生たちも子どもたちもかなり不安な中行くわけですからね。

 テレビやネットで観戦できるものは観戦すればいい。パラリンピック観戦の教育的意義をそれ程強調されるのであれば、パラリンピックの選手たちと学校がもっとつながって、コロナの感染が落ち着いた頃に講演会や出張授業をやってもらったりすればいい。知事や教育委員会、大会組織委員会はそういうことのほうに汗をかいてもらいたいです。オンラインでつないで、子どもたちと対話する機会を設けたりするのもいいと思います。

 もちろん、現地で観戦するのに代えがたいものはあるのは理解しています。とはいえ、障害を乗り越えて活躍をした人たちを見て、共生社会の在り方やさまざま人たちが挑戦し続けていることを考えるという意味では、今挙げたような代替案でも学ぶことはできるわけです。そう考えると、学校観戦それしかないというわけではない。そこまで無理して行かなくてもいいんじゃない!? が、僕の率直な意見ですね。

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パラで感動するかしないかは子ども次第