先発投手の顔ぶれを見ても、大谷に次ぐ存在だった左腕のアンドリュー・ヒーニーはシーズン途中にヤンキースに移籍。3番手以降もディラン・バンディが防御率6.06と苦しみ、アレックス・コブも怪我がちで、2人とも今季終了後にFAとなる。そうなると、将来的に大谷とともに先発ローテーションを担える可能性があるのは25歳のグリフィン・カニング、24歳のパトリック・サンドバルぐらい。だが、彼らもまだまだ計算できる投手ではなく、先発ローテーションに関しては、大谷以外はほぼ白紙と言ってもいいレベルだ。ここから何年かでチームの土台ができなければ、数年後に世界一を狙う“勝負の年”さえ作れないほど厳しい状況となっている。
そうなってくると、重要になるのは将来性がある若手の成長となる。現在、公式サイトが発表するプロスペクトランキングで全体24位と高く評価されているのが左腕のリード・デトマーズだ。2020年の1位指名(全体10位)でエンゼルス入りしたデトマーズは今季、チーム傘下のマイナー(2Aと3A)で60イニングを投げて106奪三振を記録するなど、マイナーとはいえ相手打者を圧倒する投球を見せている。既にメジャーデビューも果たしており、防御率7.11と結果は残せていないが、19イニングを投げて17奪三振とトップレベルでも通じる球があることを証明している。
他の若手投手では今年のドラフト1位指名(全体9位)のサム・バックマンぐらいしかトッププロスペクトはおらず、デトマーズが出てこないようだとかなり厳しくなってくる。FA市場の投手は高額になるということを考えると、デトマーズを中心に自前で柱となる先発投手を育てるのがマストになるだろう。
先発と同じくリリーフ陣も防御率がリーグで下位に沈んでいる。現時点で計算できるのはクローザーのライセル・イグレシアスぐらいで、そのイグレシアスも今オフにFAとなる。補強に動きたい部分ではあるが、他チームで近年活躍しているリアム・ヘンドリックス(ホワイトソックス)、ブレーク・トライネン(ドジャース)などリリーフ投手はトッププロスペクトではなくとも、大成している投手は多い。今年のドラフトでは指名選手全員が投手で、ここ数年は弱点でもある投手をこれでもかとドラフトで獲得しているだけに、リリーバーを含め駒となる投手がここから出てくることを期待したい。