
だるさを感じない体で働きたい、いつまでも健康でいたい。その後押しをする商品やサービスは23年も支持されるだろう。新型コロナにより健康に関心が集まった。これまでは“菌を防ぐ”“コロナや風邪にならないように”という雰囲気に寄っていたが、23年からは“より健康に生きるため、自分の暮らしや食生活をアップデート”の方向に意識を向けたい。
厚生労働省では3年ごとに健康寿命を発表している。19年のデータを見ると、健康寿命は平均寿命より男性が8.73年、女性が12.07年も短い。
「健康寿命と平均寿命に大きな差があるのは不幸なことで、私自身も長く元気に暮らしたい。当社の製品を通じて簡単に栄養を摂取できるようになれば、健康寿命が延びることにつながるかもしれません。社会保障問題はもちろん、シニアが長く活躍できる世の中に結びつくなどの好循環が期待できそうです」
麺とパンを売っているが、単なる食品メーカーではない。橋本さんは少子高齢化の日本が直面している課題に挑んでいるのだ。既存商品のアップデートはもちろん、新商品の研究開発も順次進めている様子。次はどんな完全栄養食が登場するのか。23年には、さらなる主食のイノベーションが加速しそうだ。
■橋本舜さんの2023’s My Trend
Person:ジェニファー・ダウドナさん
化学者。新型コロナへの活用も期待されるゲノム編集技術「クリスパー・キャス9」を開発しノーベル化学賞受賞。「日本でも2022年11月に論考集が出版され、注目」
Company:モデルナ社
「新型コロナワクチンの変異株への対応のさらなるスピードアップ、その他ワクチンの開発に期待。バイオベンチャーのロールモデルとして引き続き注視していきたい」
Thing:「スタートアップ育成5か年計画」
日本政府による、革新的なビジネスを生み出す新興企業への支援計画。「投資額も10兆円規模と大きい。今までと違う次元で社会課題解決支援の主役になればと期待しています」
(ジャーナリスト・大西洋平、編集部・中島晶子)
※AERA 2023年1月2-9日合併号