アメリカでは、アニメの風景画の中に、自然に電動車椅子で移動している人が描かれていることがあります。もちろん、障害に関係する内容ではなく、一般的な子ども向けのものであり、初めて見た時には大きな衝撃を受けましたが、それだけ多様性を受け入れている文化なのだと思います。有名なセサミストリートにも、自閉症の女の子のキャラクターがいますね。
■それは障害ではない
アメリカでは、障害があっても他者の力を借りたり、ツールを使うことにより社会参加が可能になるなら、それは障害ではないと考えるようです。車椅子に乗るのは決して不利なことではなく、メガネをかけることと同等なのだと思います。
我が家は2016年から2019年まで、ヤングアメリカンズ(YA)というアメリカでミュージカルのワークショップを開催している団体が来日時に、ホストファミリーとしてホームステイの受け入れをしてきました。ワークショップは「世界中に音楽とパフォーマンスを届ける」というコンセプトのもと、アメリカの大学生が中心となって活動し、ダイナミックなダンスで構成されています。
ある時、カリフォルニア州在住の2人の女の子を受け入れました。
彼女たちが話せる日本語は「ホントニアリガト」「超~○○」「ダイジョブ」のみ。でも、言葉は関係なく、底抜けの明るさで、我が家の子どもたちとすぐに仲良くなってくれました。
■健常と障害の境目
まず寝たきりの長女を紹介すると、「Wow!超~Sweet、超~Beautiful!」と言いながら優しく抱き上げ、何度もキスキス。
そして、膝下が不自由な息子には、「すごく上手に歩けるじゃない!あなたはパーフェクト! 何でもできる! 何でもトライすると良いよ」と言い、「ゆうもコウもワークショップに参加する?」と聞かれました。
「ゆうもコウもしないよ。ちょっと難しいと思うんだ。それにこれは学校のイベントなんだけれど、ゆうはこの学校の子どもではないの」
「どうして? アメリカでは、このワークショップは車椅子ユーザーに大人気なのよ?」
彼女たちの概念の中には、健常者と障害者の明確な境目がありませんでした。助け合ったりツールを使えば誰でもどうにでもなると考え、さらに結果は完璧でなくても構わないのです。
せっかくの明るい雰囲気を壊してしまう気もしましたが、子どもたちが参加できないことにどうしても納得がいかないようだったため、私は少し日本の話をしました。