レーンを流れる抗菌寿司カバー「鮮度くん」
レーンを流れる抗菌寿司カバー「鮮度くん」
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 先日、某テレビ番組でも紹介していただいたので、ご存じの方もいらっしゃると思います。くら寿司のレーンの流れるスピードは、一分間に約5.7メートル(秒速約9.5センチ)に設定されています。その番組によると、このスピードは、ガラパゴスゾウガメの歩くスピードとほぼ同じなんだとか。

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 一見中途半端に思えるこのスピードですが、もちろん適当に決めているのではありません。長年の経験と膨大なデータに基づいて、お客さま満足とお店の運営の両面でベストとなるよう、緻密に計算されたスピードなんです。

 最近では、レーンにお寿司を流さない回転寿司店も増えてきています。でも、回転寿司の最大の魅力は、その名の通り、お客さまの前を流れるお寿司ですよね。目の前を流れるお寿司を見ながら、「あっ、これ美味しそう」とか、「このネタはいままで食べたことないかも」と思って、すぐにレーンから取って食べられる。そのことが、回転寿司が多くのお客さまに支持されている理由のひとつです。

 人間は本能的に、動くものに惹きつけられる習性があるということです。目の前をお寿司が流れていると、つい目で追いかけてしまいますよね。ただ、そのスピードがあまりに速すぎると、目で追いかけるのにも疲れてしまいます。かといって、遅ければいいというわけでもありません。

 お客さまがお寿司を取ろうと思って、焦らずにとることのできる、ちょうどいいスピードであることが大切なんです。そして、くら寿司のレーンを流れるお寿司には、「抗菌寿司カバー・鮮度くん」が設置されています。だから、カバーなしでお寿司を回している他のお店に比べて、少しゆっくりしたスピードになっています。

 若干余談になりますが、「抗菌寿司カバー・鮮度くん」は、空気中のほこりやウイルスからお寿司を守るためにあります。もうひとつ大きな役割があるんです。それは、お寿司を乾燥から防ぎ、美味しい状態を保つのにもとても役立っているということです。

 皆さん経験があると思いますが、お風呂あがりに扇風機の風にあたると、弱い風でも寒く感じることがありますよね。これは、体についた水分が風で蒸発する際の気化熱で体が冷やされているからです。

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岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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