お寿司が一番美味しいシャリの温度は、体温と同じ36度程度と言われています。くら寿司でも、レーンに流す直前に36度程度になるよう、シャリの温度を厳しく管理しています。シャリの表面はもちろん湿っていますので、カバーなしでレーン上を流れていると、常に微風にさらされているため、気化熱でどんどん温度が下がってしまいます。「寿司カバー」があることで、水分の蒸発を防ぎ、シャリの温度の低下も防いでいるんです。

 そしてもうひとつ、このスピードにはさらに大切な意味があるんです。

 くら寿司の一般的なお店のレーンの長さは約90メートル。分速約5.7メートルで流れるお寿司が、レーンを一周するのに、約15分かかります。

 この15分という時間も、回転寿司において非常に重要な数字なんです。

 回転寿司の魅力として、席に着いたらすぐに、目の前を流れている美味しいお寿司を食べられるということもありますよね。そしてこれまでのデータから、お客さまは入店して15分の間に、最も多くのお寿司を食べられるということがわかっています。

 当社で提供しているお寿司は、常時約90種類あります。お客さまが一番多くお寿司を食べる入店して15分の間に、ほぼすべてのお寿司をお客さまに見ていただけるのが、分速約5.7メートルなんです。

 このように、皆さんが普段何気なしに見られているお寿司のレーンのスピードにも、お客さまにより満足していただくための工夫が込められているんです。

 今度くら寿司に来られる際には、そういう目で流れるお寿司をながめてみてください。これまでとはまた違った発見があるかもしれませんよ。

○岡本浩之
おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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