さらに今の50歳代には、次のようなチャンスさえ想定できる。
「中期的には、高齢社員を管理職で処遇し続ける企業が増えると見ています。2000年前後約10年間の就職氷河期時に採用をやめた影響で40歳代の層がうすくなっていく企業が数多くあるからです。管理職が足りなくなるところに高齢社員を活用しようという構図です。すでに役職定年を廃止する企業が目立ち始めています」(同)
企業人事に詳しい関係者に聞くと、伝統的な大企業の中に、こうした、いびつな人員構成をひきずったままの企業があるという。心当たりのある50代の方は、すぐ自社を調べたほうがいい。未来への「希望」が湧いてくるかもしれない。
どうやら、今の会社で働く道は先へ行くほど展望が開けそうだ。
規則正しい生活が送れて、人と接することもできる。体を動かし、お金まで稼げる──冒頭で大江氏も強調していたが、とにかく高齢期の労働はいいことだらけだ。
そして、長く働けば働くほど、最後に思わぬ「副産物」が生まれる可能性さえある。老後の黄金期が終わるころ、準備していた老後資金が「余っている」ことに気づくかもしれないのだ。「そうなったら、何に使おうか」。考えるだけでワクワクしてはこないか。(本誌・首藤由之)
※週刊朝日 2021年9月24日号