重症化リスクが高い親と同居する場合や、飼い主が感染した場合の自宅療養について考えたい。AERA 2021年9月20日号は専門家に対策を聞いた。
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高齢の親と同居する家族には、より慎重な対策が求められる。感染すれば重症化リスクが高いからだ。親以外が感染者の場合は、親との接触を極力避ける。2世帯住宅なら居住スペースを完全に分ける。親が感染して自宅療養になった場合は、重症化リスクが低い家族が看病に当たる。
老夫婦の2人暮らしで、一方が感染したらどうするか。
「65歳以上の高齢者は入院及び宿泊療養が原則です。軽症であっても、居住地の自治体の担当者に相談をし、一刻も早く宿泊療養にしてもらってください」(国際医療福祉大学熱海病院の〆谷直人・臨床検査科検査部長)
押さえておきたいのが、どういう症状が出たら「急変」なのかだ。血液中の酸素飽和度や脈拍数を測定するパルスオキシメーターが確認に役立つ。多くの自治体は自宅療養者に機器を配っている。だが感染拡大で供給が追いついていないところも少なくない。事前に用意できるなら、買っておいた方がいい。
酸素飽和度が93%以下なら、酸素吸入が必要な「中等症II」に分類される。指が冷たいと正確に測れないので、指を温めるか繰り返し測定する。
「酸素飽和度の見方には注意が必要です。医療関係者でも、見方を間違える場合があります」(あけぼの診療所の下山祐人院長)
酸素飽和度は、息苦しくて大きく息を吸い込んだ時や呼吸や心拍が安静に戻っていない時に、数値が一時的に上昇する。100近くまで上昇することもあり、「問題ない」と判断されがちだ。しかし、酸素飽和度が今後下がるサインの可能性がある。翌日には酸素吸入やステロイドの治療が必要になっているケースもある。
「酸素飽和度のチェックは、知識がないと難しい面もある。それよりも、息苦しくてトイレに行けなくなった、階段を上れなくなったなど、これまでと違う息苦しさが出てきたら、『急変』ととらえ、保健所や訪問診療をしてくれる医療機関へ至急連絡すべきです」(同)