■光明を探すなら鎌田

 カナダ戦では柴崎岳(30)と田中がボランチでプレーした。2人が先発した9月のエクアドル戦に比べればポジティブな印象を残したものの、連係面と守備強度の面で不安も残った。ボールを持つことができた前半は柴崎が相馬勇紀(25)の得点を浮き球パスでお膳立てするなど持ち味を発揮し、田中も幅広く動きながら前線の選手たちを声で動かしてプレスをはめるなど、その力を示すことができた。しかし、相手の圧力が増した後半は、チームとして対抗できなかったこともあって存在感がすっかり薄れてしまった。

 W杯で日本が対戦するのは、カナダ以上に強度の高いドイツであり、ボールを持つことに関しては世界屈指のスペインだ。日本が守備に回る時間は当然長くなるだろう。粘り強い守りでボールを奪い、攻めに転じることのできるボランチの必要性が改めて浮き彫りになった。

 相馬の得点で前半8分に先制した日本は、同21分に相手のコーナーキックから失点。そして後半の追加時間に山根視来(28)がPKを献上し、結局1-2で敗れた。結果で弾みをつけられなかった試合の中で、それでもあえて新たな光明を探すなら後半途中から登場した鎌田大地(26)の存在になる。所属チームで経験済みとはいえ、代表では初めてボランチとしてプレー。強さと技術の高さでアタッカー陣にボールを供給した。

 鎌田をボランチに起用する場合、トップ下でゴールに絡む選手を失うことにもなるが、不測の事態に備えて新たなオプションが増えたのはプラス材料だ。ドイツ戦のピッチ中央で攻守に絡むボランチを誰が務めるのか注目される。(ライター・佐藤景)

AERA 2022年11月28日号

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