コロナ禍は大学入試にもさまざまな影響を与えている。しかも2021年は「大学入試改革」がおこなわれ、受験制度そのものも大きく変化した。21年入試と、来たるべき2022年入試について、大手予備校の専門家に聞いた。高校生、受験生の大学選びついてさまざまな角度から取材した、AERAムック『就職力で選ぶ大学2022』(朝日新聞出版)から抜粋して紹介する。
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◆中堅レベル以上は人気を保った2021年入試
駿台教育研究所の進学情報事業部部長・石原賢一さんは、2021年度大学入試のキーワードをコンパクト(Compact)で保守的(Conservative)で利便性重視(Convenience)な「3C入試」だったと説明する。
「慎重に考え、無謀に動かず、損をしない選択をする傾向が見られました。コロナ禍によって、受験生の動きは大きく変わったのです」
20年度の大学入試では、翌年から始まる大学入学共通テストを受けたくないと考えた受験生が浪人を嫌い、とりあえず入れる大学を選ぶ「超安全志向」が見られたが、21年度はどうだったのか。
「今回は安全志向でも挑戦志向でもなく、自分の学力に応じたところを手堅く受けていこうという傾向が見られました。国公立大でも私立大でも、下位レベルの大学は志願者を減らし、中堅レベル以上は人気を保っていたといえるでしょう」
◆人気を集めたのは就職に直結する学部
また、コロナ禍は人々から自由な移動を奪ったが、これは大学入試にも影響していた。
「都市部がいいとか地方がいいとかではなく、とにかく自分の居住地に近い大学を選ぶ動向が見られました。国公立大では、北海道、東北、北関東の大学の志願者数が減っていましたが、これは従来あった首都圏からの受験生流入が滞ったことが要因でしょう。私立大は全体的に志願者数が著しく減ったのですが、これまでなら遠方から受験生を集めていた首都圏、東海、近畿の大学も例外なく減りました」