少々のボール球でも豪快に振り抜き、スタンドに運ぶ。だが、このスタイルは打撃フォームを崩す要因にもなる。相手バッテリーも佐藤を警戒し、春先と明らかに攻め方が変わった。ボール球が多くなり、佐藤が追いかけてしまう。必然的に空振りが多くなる。156三振はリーグ断トツトップだ。
◆中田翔との違いは?
「三振が悪いわけではありません。ヤクルトの村上宗隆も高卒プロ2年目に36本塁打、96打点でブレークしましたが、日本人最多記録の184三振を記録しています。長距離砲にとってホームランと三振は紙一重です。問題は三振の質です。ボール球をブンブン振って三振を繰り返してはチームにもプラスにならない。いかにボール球を振らずに我慢できるか。佐藤は村上と同じ道を歩んでいると言ってもいいでしょう。確実性を上げるためには1軍の試合に出続けて打席を積み重ねるしかない。不調でも使われ続けている巨人の中田翔とは意味合いが違います」(前出のスポーツ紙記者)
前半戦で阪神が首位を快走していた原動力は、間違いなく佐藤だった。たとえ三振しても、凡打を繰り返しても成長の跡が見られる打席内容だったら、阪神ファンは責めないだろう。大きなロマンを抱かせる大砲はシーズン終盤に再び爆発するか。優勝争いを繰り広げる中、キーマンであることは間違いないだろう。(安西憲春)